介護スタッフ「介護技術トレーナー研修」レポート

ソラストは、医療・介護・保育の現場で活躍する「きらめいと」をどう育てているでしょうか? ソラストの教育・トレーニング現場を体験するこのシリーズ。今回は、ソラスト全体で介護技術の向上を図るための研修として今年で3年目を迎える「介護技術トレーナー研修」の一部をレポートします。

介護技術トレーナー研修とは?

根拠に基づいた介護技術の指導者を育成するための研修です。対象者は、ソラストでの勤務経験が3年以上あり、介護福祉士の資格を有するか、それ相応の技術と経験を身に付けた中堅社員。実技を中心とした3日間のカリキュラムを通じて、移動・移乗介助※1、着脱介助※2、体位変換※3、清拭※4、排せつ介助、食事介助などについて、動作だけでなく、配慮・声かけ・心構えを含む介護技術の指導法を学びます。実技テストに合格した受講者は、各事業所で介護技術トレーナーとしてスタッフの指導にあたります。

※1 移乗介助:ベッドから車いす、車いすからトイレなどの間を乗り移る動作を介助すること
※2着脱介助:衣服を脱いだり着たりする動作を介助すること
※3 体位変換:自力で体位(体の位置や姿勢)を変えられない状態にある人の体位を変えてあげること
※4 清拭(せいしき):体を拭いて清潔な状態を保つこと

「ケアの統一」を目指して、正しい介護技術の"伝道師"を育成

現在の介護業界には、介護する側の都合や業務上の効率などが優先されてきた結果、「サービス品質はバラバラ」「ベテランになるほど基本を忘れている」といった残念な実態も見受けられます。「先輩の背中を見て学べ」と言われても、そこに正しい答えを見出せないことも少なくありません。このことが、業界全体で優秀な人材の育成と定着を妨げる要因のひとつともなっています。

重要なのは基本に立ち返る機会を継続的に作ること。「ケアの統一」(介護を受ける方が、関わるどのスタッフからも同じ品質のサービスを受けられること)を介護サービスの実践目標に掲げるソラストが、2014年から新たに「介護技術トレーナー研修」をスタートさせたのはこのためです。属人的な介護からの脱却を図り、ソラスト全体でサービス品質を向上させるための取り組みの一環です。

介護技術トレーナーとは、理論に基づく望ましい介護のあり方を事業所内に伝え、広めていく、いわば"伝道師"。ソラストでは、今後この研修を通して、正しい介護技術を身に付けたトレーナーを養成し、全事業所に配置する計画です。

「確かな技術に心をこめて」をモットーに、接遇教育にも注力

今回レポートするのは、研修2日目に行われた「排泄介助」の研修です。講師は、看護師、介護予防主任運動指導員、インスタントシニア指導員、医療的ケア指導員などの資格を持ち、15年以上にわたりソラストで研修講師を務めてきた南野圭子さん。現在はソラストキャリアセンターに所属し、主に介護技術研修、看護職員研修を担当しています。

研修は、「全員起立してあいさつをしましょう!」という、講師の元気なかけ声でスタート。すでに研修は始まっています。姿勢、お辞儀の仕方、目線、表情にまで講師の目が光り、さっそく気が抜けません。

あいさつが終わると、研修1日目の振り返りです。前回の研修のあと、日々の業務の中で自分自身にどんな変化があったのかを講師が尋ねます。
ボソボソと小さな声で答える受講者には、すかさず、「声のトーン、話し方で伝わり方は全然違います。"自分の思いを相手にきちんと伝えたい!"という気持ちで話しましょう。これもコミュニケーションの練習ですよ」とピシャリ。

3日間の研修で学ぶのは、技術だけではありません。全社を挙げて接遇教育に力を注いでいるソラストでは、この「介護技術トレーナー研修」にも接遇研修を取り入れ、介護サービスのモットーである「確かな技術に心をこめて」の実践に努めています。

なぜその動作を行うのか、必ず根拠を考える

この研修の大きな目的のひとつは、介護技術がどのような根拠のもとに成り立っているのかを学ぶことにあります。排泄介助の実技演習に入る前に、座学で男性と女性の体の構造上の違いや特質について学ぶのも、介護動作の根拠となる重要な理論だからです。

講師はその理由を、「ただ技術を覚えるだけで終わらせないこと。技術だけを覚えようとするから、すぐ忘れてしまうのです。正しいとされる介護技術には、必ず根拠があります。なぜ介護を受ける方のお名前を呼ぶ必要があるのか? なぜ体調を確認しなくてはいけないか? など、常になぜその動作を行うのか、根拠をしっかりと考えるクセをつけましょう」と説明。

研修中も、あらゆる場面で「なぜ?」「どうして?」と繰り返し問いかける講師の姿が印象的でした。

介護という"デリケートなサービス業"に求められることとは?

続いて、実技演習では、ベッド上でのおむつ交換、ポータブルトイレでの介助などを実践。2人1組になって、お互いに介護する側、介護される側を体験し合います。

「介護される方の気持ちを体験することはとても大切。心が体に乗り移って、それがみなさんの言葉や態度に表れますからね。痛みやつらさをわかったうえで介護を行うと違います」と講師が言うように、徹底して介護を受ける方の気持ちに寄り添うことが求められます。

中堅社員といえども、いざ実践となると、「あれ?この順番でよかったっけ?」「こういうときはどうすればよかったかな?」と戸惑う場面も。

講師が各チームをまわりながら、「そんな風にしたら、相手はどう思うでしょう?」「長い時間この格好で立たされたら、つらいでしょう?」「自分の大切な服を雑に扱われたら、どう思いますか?」「きちんと相手の了解を得てからしましたか?」など、気づいた点をどんどん指摘していきます。

「誰だって、自分の恥ずかしいところを人前でさらけ出すなんていやでしょう? 自分がされたらどう思うか。その気持ちを忘れないでください。介護は"デリケートなサービス業"なんです」という講師の言葉には、思わずハッとさせられました。

正しい介護技術が全事業所に浸透し、やがてソラストクオリティへ

研修の最後には、実技テストが待っています。これをクリアしなければ、トレーナーになることはできません。実技テストでは、1日目、2日目で学んだ介護技術を、一連の流れで実演。ベッドに寝ている方に声かけをして同意を求めるところから、車いすへの移乗、トイレへの移乗、排せつ介助、歩行介助(杖歩行)、脱衣、入浴介助、着衣などを経て、ベッドに戻るまでの動作を行い、講師が一人ひとりのスキルを評価します。

こうして「根拠に基づく正しい介護が行え、指導ができる」と認められた受講者だけが、各事業所でトレーナーとして活動できるのです。

ソラストでは、講師から受講生へ、受講生がトレーナーとなって現場の仲間たちへ、ここでの学びが現場へと広く深く浸透していき、全事業所でソラストクオリティとも呼べる高品質なサービスの提供につながっていくことを目指しています。

「きらめいと」とは?

「きらめいと」とは、ソラストで働く仲間たちの総称です。由来は、輝きを意味する「きらきら」と、英語の「mate(仲間)」。20年以上前、社内報の名称として社内公募から生まれた「きらめいと」は、いまやソラスト社員の代名詞ともなっています。

実際にソラスト社員は、それぞれが自分にふさわしい活躍の場を得て、きらきらと輝いています。一人ひとりが仲間意識を持ち、チーム一丸となって働いています。

人を元気にし、あしたを元気にするソラスト。多くの「きらめいと」が支えています。