第4回 「確かな技術に心をこめて」を合言葉に

ソラストが提供する商品は、サービスの中身です。それが、提供する人によってまったく別のものになってしまうようでは、ソラストのブランド価値を高めることはできません。介護の世界で働くソラストの社員たちは、「ケアの統一」という大きな課題と向き合いながら、どんな道筋をたどって介護のプロへと育っていくのでしょうか? 介護分野の人材開発を取りまとめるソラスト キャリアセンター 人材開発課 課長代理 安東 真(しん)からのメッセージです。

ソラスト キャリアセンター
人材開発課 課長代理
安東 真

問題は介護を受けられる方ではなく、事業者にあることが多い

Q:まず、安東さんご自身のキャリアパスについてお聞かせいただけますか?

A:学生の頃に障害者の自立支援に関わったのが、福祉の世界に入る最初のきっかけです。その後も長いこと、街づくりや制度づくりを含む障害者支援に携わってきました。障害者の方たちとバリアフリー運動をしたり、首都圏の主要な駅とエレベーターの設置交渉をしたこともあります。

ホームヘルパー2級、介護福祉士、ケアマネジャーの資格も取得しましたが、ちょうど介護福祉士を取得したあとぐらいでしょうか。介護保険制度ができて、多くの介護事業者が参入してきたんですね。ところが、「介護してあげる」「困っているから助けてあげる」という姿勢の事業者がほとんどでした。

そのような事業者に「問題ケース」として放り出された方たちに関わってみると、問題でもなんでもない。むしろ事業者の対応に問題があり、関係性がうまく作れないから「面倒を見切れない」という状況に陥っているのは明らかでした。

高齢者が直面するこうした現状を目の当たりにし、自分一人にできることは少ないと知りながらも、障害者支援から高齢者の介護への転職を考えるようになり、ソラストに出会いました。当時は、ソラストが介護事業を立ち上げたばかりで、「力を貸してほしい。一緒に作っていきたい」と言われたのを覚えています。

Q:さまざまな期待を背負って入社され、現在は、キャリアセンターで介護分野をメインに人材開発をご担当されていますが、ご自身の経験をお仕事にどう活かされていますか?

A:入社当初はパンフレットも研修もなかったので、事業所のケアマネジャー兼管理者として働きつつ、本社の仕事を手伝っていました。入社4年目には本社に席を移して、研修をはじめとするカリキュラムづくりを本格的にスタート。その後も人材育成や事業所の運営支援、新卒採用に関わりながら今に至ります。

あらゆるものをゼロから立ち上げてきた中で、ソラストの介護事業の根幹となっているのが、基本理念「自立支援とトータルケア」です。たとえば、効率的にオムツを替えるのも必要な技術ですが、「この人はオムツがはずれる可能性があるかもしれない」と考えたらどうでしょうか?

一人ひとりをトータルに理解し、改善するにはどうすればよいかを考え、気づいたことを実行に移せば、その人の生活は変わります。介護に関わるすべてのスタッフが、この視点を持ち続けなければなりません。理念の伴わないスキルは単なる作業になってしまいます。

極めてハードルの高い「ケアの統一」に敢えて挑戦し続けたい

Q:基本理念を実践していくために、どのような取り組みをされているのでしょうか?

A:当社が提供する商品はサービスの中身です。提供する人によってまったく別のものになることは避けなければなりません。介護を受けられる方お一人おひとりに、ベストなケア方法が絶対にあるはずです。そしてそれが、どのスタッフであっても同じ内容と品質でなければならないのです。

そこで当社は、「ケアの統一」(図1)を行動目標に掲げています。スタッフ全員がその方のケア目標と支援方針を共有し、声かけや介助方法、配慮、家族への対応など、すべてにおいて統一したやり方を徹底する。このことを明確な行動目標に掲げている介護事業者はごく少数で、ほとんどの場合、サービス提供者側の都合と効率が基準になっています。

なぜなら、ケアを統一するには、スタッフ間の情報共有はもちろん、全員が同じ知識レベル、技術レベルを持つなど、極めてハードルが高いからです。つまり、「ケアの統一」は業界全体の課題でもあるということです。それでもソラストは、3年ほど前から、この難しい挑戦を始めました。入社時研修で周知を図るだけでなく、その後も各自が実践できているかどうか、各種研修などを通じて事あるごとにフォローしています。技術研修にしてもマナー研修にしても、根底にあるべきは「ケアの統一」だからです。

さらに、今後は地域の中で医療と介護が連携し、もっと重度の方や慢性的疾患を持つ方にもケアを提供していかなければなりません。その土台づくりとしても絶対に必要です。医療従事者からも選ばれる事業者になるためには、自分本位ではなく、介護を受けられる方々を主体とした"根拠あるケア"を実践していく必要があります。

図1「ケアの統一」のためのプロセス

Q:一人ひとりが自分自身のケアを振り返る機会はありますか?

A:各事業所でのキャリアパス面談の際、「評価シート」での自己評価を通じて振り返りを行います。「評価シート」の項目は、「ソラストの人材要件」と、専門職の要件として重要な「介護サービスを受けられる方への関わり」の二本柱で構成されています。現在は常勤スタッフが対象ですが、2015年度には非常勤スタッフの評価制度を整備し直し、介護技術の「見える化」による時給アップの仕組みも動き出す予定です。評価シートと面談を通じた振り返りの機会は、優劣を決めるというより、一人ひとりの改善点を洗い出し、次の目標を立てることが第一の目的です。

Q:介護分野のキャリアパスはどのように設計されていますか?

A:大きくは医療分野と変わりません。管理職としてマネジメントを極める道と、専門職としてスペシャリストを目指す道の2つです。ただ、介護職に就く人たちは、一般的に現場で直接介護サービスを提供する存在でありたいという思いが強く、マネジメント層の育成は業界全体の課題でもあります。

一方で、マネジメント経験さえあれば事業所の運営を任せられるかというと、難しい現実もあります。現場を知らない人間には、スタッフが付いてきません。ですから、現場経験を積みながら上位の資格を取得し、知識も技術も身に付けた人を管理者に引き上げるのが自然な流れだと思っています。

とはいえ、事業が継続できなければサービスは提供できませんし、専門職を極めたい人たちにも経営的な観点は必要です。これからは資質のあるなしに関係なく、計画性をもってマネジメントを学ぶ機会を提供していこうと考えています。

ケアか?作業か? 介護を受けられる方との関わり方次第

Q:ソラスト社員の8割が女性であり、女性の活躍は言うまでもありませんが、介護の分野で女性が「働きたい!」「働き続けたい!」という思いに応える仕組みは何かありますか?

A:介護の現場は予測できない急な対応が発生し得るので、常勤スタッフは、若い人か、子どもの手が離れた人など、ある程度時間に融通のきく人がほとんどです。受け入れないのではなく、現実的に難しいため求職者が少ないのです。ただ、業界全体で人材が不足していますから、キャリアを中断した人にも復職のチャンスはたくさんあります

ソラストなら、未経験者も含めてウェルカムです。現に4年ほど前から、「ファーストステップ制度」を通じて多くの未経験者・転職者を採用し、介護のプロを育ててきました。この制度は、経験や資格に関係なく人格で採用し、資格の取得から事業所への配属までをサポートするものです。たとえば、接客の仕事をしていた人が未経験で入り、現場のキーマンになるケースも珍しくありません。ヘルパーステーションの所長や、サービス提供責任者として活躍する人材も出ています。

Q:一方で、3K(きつい・汚い・危険)と言われる介護業界ですが、率直なところどうなのでしょう?

A:正しい知識や技術をきちんと身につけることで軽減されることもあるし、慣れる部分もあります。また、最初にお話ししたオムツ替えの例のように、介護サービスを提供するときの視点を変えることで、3Kが解消とまでは言わなくても、実は違うのだと気づいてくれます。だからこそソラストは、基本理念の理解と徹底に力を入れています。

肝心なのは、やはり"介護を受けられる方とどう関わるか"なのです。ケアが単なる作業にならないように、「確かな技術に心をこめて」というスローガンを掲げ、接遇を含めたコミュニケーションのプロ「ウェルフェアコンシェルジュ」という資格取得を推進する理由もここにあります。接遇研修を始める会社は増えていますが、当社のように接遇スキルをはっきりと可視化している例は聞いたことがありません。

Q:最後に、安東さんの考える「良いキャリア」とは何でしょうか。

A:ソラストにはいろんな選択肢があります。常勤スタッフとして働き続けることだけが正解ではありません。非常勤スタッフとして10年以上働いているベテランもいますし、60代以上のスタッフも全介護スタッフの20%以上を占めています。働く時間は短くても、常勤スタッフより資格も技術も持っている非常勤スタッフが、現場の核になっていたりもします。目指すべき「良いキャリア」は一つではないのです。自分のライフスタイルに合わせてベストな働き方を選べるからこそ、どのキャリアもすごくステキなのだと思います。

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