准看護師とは?正看護師との違いや試験概要、将来性について解説

准看護師イメージ

正看護師と同様に、看護や診療補助を行うポジションに准看護師があります。准看護師と正看護師にはどのような違いがあるのか、資格取得試験や将来性など気になるポイントも多いでしょう。今回は准看護師の気になるポイントを詳しく解説していきます。看護職のキャリアを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

准看護師とは?基本情報まとめ

お年寄りのお世話をする准看護師

准看護師とは都道府県知事発行の免許のもと、医師や看護師の指示に沿って看護や診療補助を行う役割です。病院やクリニックのような医療施設をはじめ、介護施設や老人ホームなどさまざまな場所で活躍しています。
まずは准看護師について、さまざまな観点から詳しく解説します。

准看護師の基本データ

円グラフ_准看護師の男女比

平均年収(全体) 男性の平均年収 女性の平均年収
約405万円 約431万円 約402万円
※賞与、残業代、各種手当含む

 

人手不足の状況が続く医療業界で、准看護師は正看護師と同様に重宝されるポジションです。
厚生労働省の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、30万4,479人が准看護師として就業しています。しかし平成20年には約37万人いた准看護師は年々減少し、現在に至ります。また女性が9割以上と、正看護師と同様に圧倒的に女性が多い職種です。

また以下は厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」による准看護師の平均年収です。

給料は勤務先の規模や経営状況、夜勤の有無や経験年収によっても大幅に変動します。一般的な職種と同様に、経験年数や年齢を重ねるとともに給料やボーナスも増えていく傾向にあります。

また派遣やアルバイト・パートとして働く准看護師も多く、平均時給は約1,400〜1,500円です。時給の水準としては高く、派遣ではスキルに応じて時給2,000円以上のケースもあります。

准看護師の主な職場

施設
1位 病院
2位 診療所
3位 介護保険施設等
4位 社会福祉施設
5位 訪問看護ステーション

 

准看護師は医療機関だけでなく、介護施設や保健所などさまざまな施設で働いています。
以下は「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」による、准看護師の就業数が多い職場ランキングです。

医療行為が行える准看護師は、医療機関のほか介護施設や福祉施設でのニーズも高まっています。

准看護師の仕事内容

血圧や体温などのバイタルチェック/点滴、注射、採血/手術、診療補助/患者さまの食事、排せつ、食事介助/患者さまの移送/ナースコール対応/カルテ記入 など

仕事内容は正看護師と変わりありません。しかし准看護師はこれらの業務を自らの判断で行えず、医師または正看護師の指示が必要です。

准看護師になるには

准看護師になるためには養成課程の修了に加え、准看護師試験に合格しなければなりません。

中学卒業後から准看護師を目指す場合は、准看護学校に2年、または衛生看護科のある高等学校に3年通学。一般高校卒業後であれば准看護学校、または4年制の看護大学、3〜4年制の短大・専門学校に通学することで准看護師試験の受験資格が得られます。

また社会人、主婦からでも准看護師を目指せます。その場合、准看護学校または専門学校に通い、2年の課程を修了する必要があります。全日制と半日制(平日午後/夜間)の2つの課程があるため、生活スタイルに合わせて選ぶことができます。働きながらの通学もでき、転職としても目指しやすいでしょう。

そしてそれぞれ必要な課程を修了したのち、准看護師試験に合格することで、晴れて准看護師として活躍できます。

准看護師と正看護師との違い

正看護師と准看護師

ここでは准看護師と正看護師の違いを、3つの観点から解説します。

免許・資格について

准看護師は都道府県知事が発行する免許に対し、正看護師は厚生労働大臣が発行する免許です。正看護師は国家資格ということもあり、免許取得までのハードルも高くなります。
また准看護師は都道府県知事により免許が発行されますが、全国どこでも働くことができます。

業務について

准看護師と正看護師の仕事内容は同じですが、准看護師は自らの判断で業務が行えない点が大きな違いです。

そのことも関係し准看護師は役職に就くのが難しく、キャリアアップの道が少ないといえます。

教育について

正看護師になるためには高校卒業が必須ですが、准看護師は中学校卒業資格があれば准看護学校などに入学できます。
また受験資格を得るまでの教育課程も異なります。正看護師の場合は3〜4年課程で3,000時間以上の履修と1,035時間以上の実習が必要です。一方准看護師は2年課程で1,890時間以上の履修と、735時間以上の実習となります。

受験資格取得までの履修と実習の時間差からもわかるように、目指すハードルは准看護師の方が低くなります。そのため別業種からでも看護職が目指しやすいのです。なかには正看護師を目指す過程として、准看護師を目指す方もいます。

准看護師の試験概要

教育課程の修了、または修了見込みがある場合、准看護師試験の受験資格が得られます。試験は年に1回、47都道府県で2月〜中旬に実施されます。試験日は各都道府県で異なるため、同年で複数回の受験が可能です。

試験内容

試験では以下の13科目から、全150問が出題されます。

人体の仕組みと動き/食生活と栄養/薬物と看護/疾病の成り立ち/感染と予防/看護と倫理/患者の心理/保健医療福祉の仕組み/看護と法律/基礎看護/成人看護/老年看護/母子看護および精神看護

試験は都道府県ごとに実施されているため合格基準は一律ではありませんが、およそ60%以上の正答率が確保できれば合格できます。
全て教育課程で学ぶ基礎であるため、試験前にしっかりと対策すれば合格も難しくありません。

合格率

「令和元年度准看護師試験の実施状況」によると、試験の合格率は96%です。受験者数1万6,867人に対して、1万6,233人が合格しています。
例年合格率は96〜98%と高い水準をキープしているため、難易度は高くないでしょう。

准看護師の役割と誕生の歴史

准看護師の理解を深めるため、ここでは准看護師の役割や歴史についてお伝えします。

准看護師の役割

医療・介護・福祉を支える看護職のうち、約4割は准看護師です。高齢化社会が進むなか2025年には約6〜27万人の看護職員が不足すると推計されており、今後准看護師を含む看護職のニーズはさらに高まります。

准看護師は正看護師に比べて資格取得までの課程も短く、社会人からでも目指しやすい職種といえます。准看護師になったのちに正看護師へとキャリアアップすることも可能であるため、将来的に長く働き続けやすいでしょう。

准看護師誕生の歴史

第二次世界大戦後の日本ではGHQ指導のもと、看護改革が進められました。
准看護師誕生の背景には、戦後の急激な病院の増加による看護師需要の増加があります。しかし当時女子の高校進学率が低く、高卒資格が必要な正看護師を拡充することが難しかったのです。

そこで誕生したのが中学校卒業後、2年の課程で知事試験合格により資格が取得できる准看護師でした。看護師の資格取得よりも要件を低くしたことで、急速な看護師需要の補充に貢献しました。
その名残もあり、今でも准看護師は中学校卒業資格があれば目指すことができます。

准看護師の今後について

将来的に看護職員は不足するとされており、准看護師の役割も大きくなるでしょう。しかし需要に反比例し准看護師の数は年々減少。准看護師を目指す人も少なくなったことで、准看護師養成所などは経営難に陥っています。

また准看護師が確立した昭和26年とは異なり、現代は高校進学も定着。さらに医療が高度化しているなか、看護職員の自立性が求められています。しかし准看護師は法律上、医師や看護師の指示のもとでしか業務を遂行できず、求められる姿とは反対といえます。

このような社会的変化を背景に、1990年代から厚生労働省は正看護師と准看護師の一本化を提言しています。そのため今後准看護師は廃止されるのではとの声もあります。

しかし2年課程で働きながらでも看護職員を目指しやすく、資格取得までの時間とコストがかからないことにより、看護師不足を補う手段となることも事実です。特に地域医療や介護施設などでは、准看護師のニーズは依然高いものがあります。

さまざまな議論がされているため、将来的に試験体制や要件など変化する点が出てくるかもしれません。しかし慢性的な看護師不足と今後も需要が高まる背景から、廃止になることは考えられず、変化が予測されるとはいえ、准看護師は将来性がある職種といえます。

准看護師の活躍は今後も期待される

今回はさまざまな観点から准看護師についてご紹介しました。
就業人数は減少しているものの、今後さらに看護職員が不足する状況下では准看護師の存在が必要です。資格が取得しやすく、資格取得後は正看護師へのキャリアアップも目指せます。
ぜひ今回ご紹介した内容を踏まえ、准看護師としてのキャリアも検討してはいかがでしょうか。