すべてのホームヘルパーに1人1台のタブレット

ソラストでは、生産性とクオリティの向上を目指したICT活用の一環として、タブレット端末を利用した訪問介護システムの導入を進めています。その狙いと効果、導入を機に変わり始めた現場などについて、先行導入している「ソラスト小岩」の様子をレポートします。

医療や介護、保育の現場では、属人的になりがちなサービス品質の向上が大きな課題の一つです。また、身体状況などを含む個人情報の取り扱いが避けられません。情報の紛失や漏えいは、会社の信用を揺るがします。これまでの現場では、紙に記録したものをパソコンに入力するといった二度手間も発生しており、記録もれや転記ミスの原因になるばかりか、大事な連絡や報告の共有にタイムラグが発生していました。

ソラストでは、こうした現場の問題点を改善し、リスクを減らし、より質の高い介護サービスを提供するため、タブレット端末を利用した訪問介護システムをすべての訪問介護事業所に導入することを決定。2017年6月までに、全53事業所、約1,000名のホームヘルパー全員を対象に順次導入を進めています。

実用化に向けて本システムを先行導入し、実証実験を重ねてきた「ソラスト小岩」を訪ね、管理者兼サービス提供責任者を務める林田昌美(はやしだまさみ)さんに、システムの概要と現在の利用状況、現場で実感している変化などについて伺ってきました。

林田昌美さん

ソラストの訪問介護ノウハウを詰め込んだ新たな仕組み

「新しいシステムは、ソラストが訪問介護の業務ノウハウを提供し、みずほ情報総研株式会社と共に開発したものです」と林田さん。タブレット端末を使った訪問介護向けソリューションはすでにいくつかあるものの、個人情報の取り扱いや、介護保険請求ソフトとの連携などの観点から、いずれも採用には至らなかったと言います。

主な機能は、大きく分けて、サービス提供責任者※向け機能とホームヘルパー向け機能の2つ。紙ベースのやりとりを電子化することで、効率化や情報共有を図るとともに、個人情報保護を強化し、最終的に「サービス品質の向上」につなげることが目的です。

※サービス提供責任者とは、ホームヘルパーやケアマネジャーと訪問介護サービスの利用者間のパイプ役となり、適切な介護サービスが提供されるように調整する役割を担う職種。訪問介護事業所には、サービス提供責任者の配置が義務付けられている。

主な機能

サービス提供責任者向け機能(主にパソコン画面で利用)

  • ホームヘルパーのシフト管理
  • 訪問予定と実績の確認
  • 介護保険請求システムとの連携

ホームヘルパー向け機能(一人ひとりに支給されるタブレット端末で利用)

  • 訪問スケジュールの確認
  • 介護記録票の入力と閲覧
  • 訪問介護計画書の参照(PDF)
  • 介護サービスを受けられる方(およびご家族)による介護記録の閲覧
  • 緊急連絡先の確認
  • QRコードによるご利用者確認

介護・医療連携など、サービス向上につながる効果も!

現場を巻き込み、時間とコストをかけて開発したシステムは、ユーザー目線で作り上げただけあって、ヘルパーにも「使いやすい」と好評です。「チェック操作が中心で音声入力もできるなど、実際にやってみると簡単です。最初は不安もありましたが、高齢のヘルパーが多い現場でもスムーズに導入できています。70代のヘルパーも楽々使いこなしていますよ」と林田さん。ヘルパー間など現場レベルでの情報活用も進みつつあり、今後のサービス品質の向上につながりそうです。

効果1. タイムリーに現場の状況を把握

手書きの介護記録をタブレット端末での入力に切り替えてから、ヘルパーが週に1回~数回事業所に足を運んで介護記録を提出する手間と時間が削減されました。サービス提供責任者は、各ヘルパーの訪問実績をパソコン画面でタイムリーに確認できるようになっています。

「特に忙しい月末などは、一度にたくさんの介護記録に目を通すのは大変。訪問したその日のうちに確認し、介護を受けられる方の状況を逐一把握できるのが一番の利点です。タブレット端末で撮影した写真も共有できるので、言葉では伝わりにくい身体の状況も、『これは病院に連れて行った方がよい段階かな』といったことが一目で判断でき、適切なタイミングで医療につなげられます」

紙からタブレット端末へ

効果2. ヘルパー間の連携が密に

これまでは、介護を受けられる方の状態は、訪問先で過去の介護記録の控えを確認させてもらうまでわかりませんでした。今は、タブレット端末で事前に把握できるため、速やかにサービスを始められるようになりました。前回の訪問が他のヘルパーであってもスムーズに情報を引き継げます。

「ヘルパー間の情報共有によって、食事のメニューがかぶらないようにするといった心配りも生まれます。属人的ではなく、ソラストとして連携できていることが見えれば、ご家族の安心感にもつながると思います」

効果3. 情報漏えいのリスクを低減

タブレット端末は、利用する時間と場所に応じて介護記録画面へのアクセスが制限されます。利用可能なのは、訪問先、ヘルパーの自宅、事業所の3ヵ所のみ。訪問先でも、サービス開始5分前まで、サービス終了後15分を過ぎたらアクセスできません。これにより、情報漏えいのリスクを低減しています。

「予定していた時間、場所、訪問先かどうかをチェックする仕組みもあります。電子化したことで訪問先にお渡ししていた介護記録の控えもなくなったのですが、今後はIDとパスワードをお渡ししてWeb上で閲覧できるようになる予定です。これなら、遠方にいるご家族も安心して確認できますね」

訪問介護記録の画面

QRコードを読み取ることで、介護サービスを受けられる方が間違いないことを確認できる。

効果を実感するヘルパーたちの声

ソラストがICTの活用で目指すもの

ソラストでは、属人的で生産性が低いと言われる日本のサービス業において、仕事の生産性とクオリティを飛躍的に高めるために、ICTの活用を積極的に進めています。ICTの活用とは、たとえばiPadのようなタブレット端末を使って、いつでもどこでも必要な情報をすばやく正確に把握したり、スタッフ間で情報を共有したりする取り組みです。

詳しくは「ソラストのICTは、やさしい」でご覧ください。