介護の人間関係を良くする3つの心理学的テクニックと、よくある悩み紹介!

介護はこれからの日本において、もっとも大事な仕事のひとつです。人から感謝されやすく、やりがいを感じる仕事でもあります。 しかし、人間関係が悪ければ、介護の仕事をはじめたとしてもすぐに辞めてしまいかねません。介護の仕事を続けていくために、人間関係について知っておくことは非常に重要です。
ここでは、介護の人間関係について、よくある悩みと3つの心理学的テクニックを紹介していきます。
目次
介護の人間関係って?
介護の仕事では、人間関係の悩みがつきものです。利用者や利用者の家族、スタッフ、関係機関の担当者など、さまざまな人間と関わる必要があるからです。そのため、人間関係に悩んでいる方は非常に多いです。株式会社エス・エム・エスが公表したアンケート結果では、「介護職をやっていて嫌だな、つらいと思うこと」に対して、1位が「スタッフ間の連携・意思疎通があまりない・悪いと感じたとき」、2位が「人間関係が悪い、うまくいかないと感じたとき」 でした。
人間関係が悪いと仕事に対するモチベーションが下がり、最悪の場合、退職の引き金になってしまいかねません。次に、介護の人間関係でよくある悩みを紹介していきます。
介護の人間関係でよくある悩み

介護の人間関係でよくある悩みをあらかじめ知っておくことで、適切な対処をおこなえます。ここでは、介護の人間関係でよくある悩みをいくつか紹介していきます。
職場のスタッフとうまくいかない
介護の仕事では、10代~60代とさまざまな年齢層の方が働いています。年齢層が違えば、仕事に対するモチベーションや価値観が違うのは当たり前でしょう。職場のスタッフとうまくいかなければ、仕事に行くのが辛くなったり、ストレスを感じたりしてしまいかねません。特に、訪問介護ではなく施設で働く人にとっては、職場の人間関係は重要な問題です。一般的な企業と違って人事異動などがほぼなく、辞めない限りは同じ人たちと仕事を続けてく必要があるからです。
原因がはっきりしている場合は、上司やリーダーに相談しましょう。もし上司やリーダーが頼りにならないなら、周りのチームに相談し、話し合いの場を設けてもらうことも大事です。
利用者と上手に付き合えない
利用者によっては、こちらの言うことを聞いてくれなかったり、何度も同じ説明が必要だったりすることがあります。忙しい毎日の中でそういったことが積み重なると、ストレスを感じざるを得ません。また、近年、利用者からの嫌がらせや暴力、暴言が話題にもなっています。日本介護クラフトユニオンの調査では、介護職員の7割が、利用者から嫌がらせを受けたことがあると分かりました。
この場合、一人で悩むことなく、かならず誰かに相談することをおすすめします。「恥ずかしいな」「情けないな」と思うことでも、誰かに相談することで、解決の糸口が見えてくるはずです。
看護師と衝突してしまう
介護士と看護師は、意見が衝突してしまうこともあります。どちらも専門領域が違うからです。意見の衝突が繰り返されるようになると、相手の人間性そのものを嫌いになってしまう可能性もあります。介護士と看護師では、上下関係はありません。どちらも社会的な立場が対等です。どちらかが「自分のほうが立場が上」といった発言をした場合、それは間違っています。
もし意見のすれ違いが続くようなら、きちんと話し合うべきでしょう。介護士と看護師が連携できれば、仕事の効率化や質の向上にもつながります。
利用者の家族から嫌われてしまう
訪問介護の場合、利用者の家族とうまくいかないと、精神的にも肉体的にも大変です。訪問介護は外に出る機会が多いため、スタッフとの人間関係については楽に考えることができます。しかし、その分、利用者や利用者との関係には気を遣う必要があります。特に、訪問介護は一人で利用者の自宅を訪れることがあります。利用者から暴言を吐かれたりセクハラの被害を受けたりした場合、矛先は自分一人に向います。
このような場合も、一人で悩むことなく誰かに相談しましょう。一人で悩んでいても答えはなかなか出ませんし、情報の共有は訪問介護の仕事で非常に大切なことです。
介護の人間関係を良くする方法

人間関係を良くすることができれば、仕事のストレスを軽減させることができます。また、職場の雰囲気も良くなり、利用者に対するサービスの向上や仕事の効率化にもつなげられるでしょう。
課題の分離をする
アドラー心理学では、『課題の分離』をすることによって、人間関係の悩みは9割方解決することができるとしています。課題の分離とは、「誰の課題か?」をはっきりとさせることです。
その課題が「自分のものなのか?」「他人のものなのか?」に分け、『他人の課題』については干渉しないようにします。たとえば、『仕事をしない人』に対しては、『仕事をする・しない』は他人の課題ですので、干渉しないことが大事です。
しかし、もしあなたがグループのリーダーなら、『仕事をしない人』がいることによって他の職員のモチベーションが下がったり、サービスの質が低下したりすることは、『自分の課題』です。そうならないように、『仕事をしない人』に対して適切な支援をしましょう。
信頼関係(ラポール)を築く
ラポールとは、強い絆で結ばれた信頼関係のことです。知らない人と信頼関係を結ぶのは、「難しい」と考える方が多いでしょう。しかし、テクニックを身につけることで、信頼関係を築きやすくなります。
信頼関係を築くためのテクニックは、コミュニケーション術です。コミュニケーション術には、さまざまな方法があります。たとえば、ミラーリングです。人は、自分と同じ行動や言動をする人に好感をいだきます。利用者にミラーリングで接する場合は、同じタイミングで笑ってあげたり、同じ仕草で行動してあげたりしましょう。
また、バックトラッキングと呼ばれるテクニックも信頼関係を築く方法のひとつです。これは、相手の発言を繰り返すというもの。「そうなんですね」「わかりました」で終わるのではなく、相手の発言を繰り返すことで、こちらがきちんと理解していると相手に示すことができます。これらを用いて、人間関係を良好に築くことができます。
相手の立場に立って考える
相手の立場に立って考えることで、人間関係の改善を促すことができます。ここで大事なのは、「もしも自分が利用者だったら?」「もしも自分が看護師だったら?」「利用者の家族だったら?」と客観的に質問することです。この方法は、アズ・イフフレームと呼ばれ、心理学でも利用されているものです。
また、相手の立場に立って考える際は、3つの視点を持つようにしましょう。自分から見た相手、相手から見た自分、第三者が見た自分と相手の3つです。これらの視点で物事を考えると、人間関係が悪くなった原因を突き止めることができます。
もし利用者に「自分の言葉を聞いてもらえない」「受け入れてもらえない」と感じるなら、「◯◯という行動を取ってもらうにはどうすればいいだろう?」と根本的な原因を考えることも大事です。自分の考えを押し付けるだけでなく、きちんと相手の立場に立って考えることで、人間関係を円滑に進めることができます。
人間関係の悩みが多いからこそ解決策を理解しておこう!
介護は人間関係の悩みが多い仕事です。しかし、どのような悩みが多いのかを知り、解決策を理解しておくことで、ある程度クリアすることができます。
また、就職の時点で、人間関係の悪い職場を避けることも大切です。常に求人広告を出していたり、情報が細かく書かれていなかったり、他の条件に比べて給料が高かったりする場合は、警戒したほうが良いでしょう。もし介護の仕事に興味があるなら、そういった点に注目して、求人を見てみましょう。
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