介護職員初任者研修とは?メリットや取得方法、試験内容などを徹底解説
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2022/07/26
介護業界で働く方やこれから働こうと考えている方の中には、介護の分野に様々な資格が存在するため、どれを取得したらいいのか分からないという方も多いでしょう。数ある資格の中でも、介護の基礎を習得したい方に最適な資格「介護職員初任者研修」について解説します。
介護職員初任者研修とは?
介護職員初任者研修は、介護をするにあたっての基礎知識やスキルを持っていることを示す「資格」のこと。研修という名称なため紛らわしく思う方も多いと思いますが、資格の名前です。介護職員初任者研修のカリキュラムを終了して修了試験を通過することで、この「介護職員初任者研修」という資格をとることができます。資格としての難易度は入門レベルで、介護の世界にこれから一歩踏み出そうという方にぴったりの資格です。また、そのほかにも下記の特徴があり、誰でも取得にチャレンジできることも魅力の一つです。
・受験資格は定められていない
・試験の難易度が低いといわれており、未経験・未資格でも取得を目指せる
・最短1か月で取得可能
入門資格とはいっても、介護職員の仕事の二種(「身体介護」と「生活援助」)両方の知識や技術を習得することが可能で、介護職員としてレベルアップができることに間違いはありません。
介護職員初任者研修と旧ホームヘルパー2級の違い
ホームヘルパー2級 | 介護職員初任者研修 | |
---|---|---|
総受講時間 | 130時間 | |
講義 | 58時間 | 40時間 |
実技 | 42時間 | 90時間 |
施設実習 | 30時間 | なし |
修了試験の実施 | 不要 | 義務 |
介護の入門資格としては、以前は「ホームヘルパー2級」というものがありました。しかし、2013年4月に制度変更があり、資格取得にあたっての条件の変更とともに、名称が「介護職員初任者研修」に改められました。この変更は、体系が複雑であった介護業界のキャリアパスを明確にする意図で、他の数ある介護業界の資格の変更とともに行われたものです。他の資格については複数が一つにまとめられるような変更もありましたが、入門レベルの資格については、名称の変更と修了試験の実施、実習の廃止、認知症ケアについてのカリキュラムの強化という変更が行われました。
しかし、制度変更後も「ホームヘルパー2級(ヘルパー2級)」の資格や名称になじみのある事業者も多く、いまだにヘルパー2級と呼ばれることもあるようです。
介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修の違い
介護職員初任者研修 | 介護福祉士実務者研修 | |
---|---|---|
受験条件 | なし | |
難易度・専門性 | 低 | 高 |
必要カリキュラム数 | 9科目・130時間 | 20科目・450時間 |
試験 | 有 | なし |
2013年4月までの名称 | ホームヘルパー2級 | ホームヘルパー1級 介護職員基礎研修 |
介護職員初任者研修と名称の似たものに「介護福祉士実務者研修」があります。レベルとしては、初任者研修よりも実務者研修の方が上級で、医療的ケアなどのより専門的な知識が必要とされます。
どちらも未資格・未経験で受講できることから、初任者研修を取得することなしに実務者研修の取得から目指す方もいます。しかし、実務者研修のカリキュラムは受講者にある程度の基礎知識がある前提の内容となっています。そのため、キャリアパスとしては初任者研修を取得してから実務者研修を取得する流れが推奨されています。 また、実務者研修の方が初任者研修と比べて、選べるキャリアの幅が広いです。例えば、実務者研修を修了すると、介護福祉士の受験資格を得ることができます。また、一部の事業所では、サービス提供者として3年以上の実務経験を積むことなしに働けます。
介護職員初任者研修を取得するメリット
・資格の取得によって仕事の幅が広がる
・基礎知識を有していることが証明でき、就職・転職で有利になる
・職場によっては、給与がアップする可能性がある
・基礎知識の習得により、介護福祉士の資格取得もスムーズに目指せる
・家族等の介護にも役に立つ
介護職員初任者研修は、介護の分野で活動していくにあたっての入門レベルの資格ですが、取得しておくことによって様々なメリットがあります。ここでは、そのメリットについて詳しく紹介します。
資格の取得によって、仕事の幅が広がる
介護業界は、超高齢社会の深刻化が進む日本において今後も需要が大きいため、職場を見つけるのは難しくありません。しかし、資格なしでは、ある程度選べる職場が制限されてしまうのも事実です。介護職員初任者研修を修了していれば、介護に必要な基本的な知識や技術をしっかりと身に付けている人だと判断されます。そのため、即戦力を求めている待遇の良い職場や、キャリアアップに力を入れている職場など、あなたの求めている条件に合った職場に就職、転職しやすくなります。
基礎知識を有していることが証明でき、就職・転職で有利になる
介護業界は、超高齢社会の深刻化が進む日本において今後も需要が大きいため、職場を見つけるのは難しくありません。しかし、資格なしでは、ある程度選べる職場が制限されてしまうのも事実です。介護職員初任者研修を修了していれば、介護に必要な基本的な知識や技術をしっかりと身に付けている人だと判断されます。そのため、即戦力を求めている待遇の良い職場や、キャリアアップに力を入れている職場など、あなたの求めている条件に合った職場に就職、転職しやすくなります。
職場によっては、給与がアップする可能性がある
勤務している職場によって違いはありますが、介護職員初任者研修の資格を取得することで、資格手当がもらえる場合もあります。資格手当という形であなたの努力や能力が給料に反映されることで、さらに意欲的に仕事を行えるようになるでしょう。このようなモチベーション向上につながる制度があれば、もっと専門的な知識や技術を身に付けていこうと考えるきっかけにもなります。
基礎知識の習得により、介護福祉士の資格取得もスムーズに目指せる
介護職員初任者研修を取得する過程では、介護の基本的な知識や技術を幅広く身に付けます。そのため、今後介護士としてキャリアを積んでいきたい方は、介護職員初任者研修を取得することで、より上のキャリアに近づくことができます。この研修で身に付けた知識や技術を現場で活かすこと、またより専門的な資格の取得にチャレンジすることで、将来的にはマネジメントや専門職など、新たな役割で働くことができます。
家族等の介護にも役に立つ
介護を行う対象は介護サービスを利用している人だけではありません。将来的に家族が要介護状態になったときは、自分自身で家族の面倒を見る必要が発生することもあります。そんなときのために介護職員初任者研修を取得することで、家族の介護の際にも大いにその知識や技術を役立てることが可能です。可能であれば、家族が元気なうちに介護の知識をつけ、介護の現場で経験をしっかりと積んでおくと、将来の大きな安心につながるでしょう。
介護職員初任者研修取得にはカリキュラム修了と試験合格が必要
介護職員初任者研修を取得するためには、「介護職員初任者研修」という同名の講座を一定数受け、修了試験(筆記)に合格する必要があります。取得に必要な期間は、最短で1か月程度です。
修了必須のカリキュラム
資格取得に必要な講座のカリキュラム数は合計130時間分。内容は下記の通りで、一通り学ぶことで介護の基礎を学ぶことが出来ます。
【介護職員初任者研修(研修科目及び研修時間数)】
1. 職務の理解 | 6時間 |
2. 介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
3. 介護の基本 | 6時間 |
3. 介護の基本 | 6時間 |
⒋ 介護・福祉サービスの理解と医療の連携 | 9時間 |
5. 介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
6. 老化の理解 | 6時間 |
7. 認知症の理解 | 6時間 |
8. 障害の理解 | 3時間 |
9. こころとからだのしくみと生活支援 | 75時間 |
10. 講義の振り返り | 4時間 |
130時間 |
(参考:「介護員養成研修の取扱細則について」厚生労働省)
合格必須の修了試験
カリキュラムをすべて修了した後、筆記試験による修了評価(1時間程度のもの)を実施します。この修了試験に合格することで、資格取得となります。
介護職員初任者研修の修了試験について
試験日 | 6時間 |
試験形態(筆記試験か実技試験など) | 筆記試験 |
問題の内容 | 各スクールが定める |
問題数 | 32問以上 |
解答方法(選択式か記述式か) | 各スクールが定める |
合格基準 | 100点満点中70点以上 |
不合格となった場合 | 補講・再試験あり |
試験は全国で統一したものが行われるのではなく、各スクールが用意した問題を、各スクールが定める日程で行います。ただし、原則となる問題数や時間などは全国的に定められているため、スクールごとの試験難易度の違いはほとんどないと考えてよいでしょう。
試験内容
出題項目は、介護職員初任者研修の研修科目の「2. 介護における尊厳の保持・自立支援」から「9. こころとからだのしくみと生活支援」までです。問題数は、32問以上となっており、選択式または記述式で出題されます。
難易度
合格基準は100点満点中70点以上で、試験の難易度も高くありません。修了試験も、授業内容を間違いなく理解しているかどうかを確認する意味合いで実施されるため、授業をきちんと受けていれば問題なく合格できます。
もし、万が一不合格であっても、補講と再試験を受けることができますので、心配せずに受けて大丈夫です。
介護職員初任者研修取得のためのスクール選び
介護職員初任者研修を取得する際は、自分に合ったスクール選びをすることが大事になります。ここでは、その理由を説明します。
介護職員初任者研修の資格はスクールに通わないと取得できない
介護職員初任者研修は介護業界の知識をつけるための入門の資格なので「独学でも取得できるのでは?」と考える方もいることでしょう。しかし、この資格はカリキュラムを事業者や実習施設で受けること決められているため、独学での取得はできません。
通信のみではカリキュラムを修了できないが、併用は可能
カリキュラムには、技術習得にあたって必ず通学が必要なものがあります。一部については、通信学習と通学のどちらも可能ですが、多くの人がその二つを併用しています。通信学習にすれば、空いた時間に自宅で学習でき、空いた時間を有効活用できます。そのため、仕事やプライベートで忙しい方は併用するとよいでしょう。
また、通学にもメリットがあります。通学することで、同じように介護を学びたい方と一緒に勉強できるため、モチベーションを維持しながら学習できます。
スクール費用の相場は5~10万円
講座の費用は全国で一律ではありません。スクールには、「通信併用」または「通学のみ」「充実の就職サポート」「介護福祉士実務者研修とのセット」など様々なプランがあり費用が異なります。ただし、基本的には5万円から10万円程度で受講可能と考えて良いでしょう。
また、キャッシュバックのシステムを設けているところや、早期割引キャンペーンを実施しているところなど、特典を設けているスクールもあります。予算と希望の受講スタイルを考えて、あなたに適した講座を選ぶと良いでしょう。
ハローワークで給付金が受けると、一部費用が無料に
ハローワークでは、求職者向けに職業訓練を実施しています。一定条件を満たすと、職業訓練を受けるための給付金を利用でき、受講料はテキスト代(5千円~1万円)やその他の実費を除き、無料となります。ただし、支援を受けるにあたっての選考の倍率が高い自治体では、選考に落ちる可能性もあります。
介護職員初任者研修の資格を働きながら取得する
介護職員初任者研修を希望する方の中には、現在別の仕事についているまたは介護の仕事を既にしていてあまり勉強に時間を割けないと不安に思う方もいることでしょう。ここでは、この資格が働きながら無理なく取得できるものであること、そしてそのコツをご説明します。
介護職員初任者研修の資格は働きながら取得可能
介護職員初任者研修の資格は、主に以下の理由により、働きながらでも取得を目指すことが十分可能です。
・短期間で取得できる
・カリキュラムの1/3を通信で受講でき、柔軟な対応が可能
・選べるスクールが豊富
働きながら資格取得するためのスクール選び
初任者研修は、通信と通学を併用することで、最短1か月程度で取得可能です。ただし、仕事と勉強のバランスをとる場合は短期に集中する形ではなく、出来る限り仕事や体調に支障をきたさない方法で資格取得をしたいという方もいることでしょう。介護職員初任者研修はスクールやプランにはたくさん種類があるため、あなたに合わせた方法で資格取得をすることが可能です。
土日開講のコースを選ぶ
現職が土日休みの場合は仕事と勉強をバランスよく進めることができる、土日開講のコースがおすすめです。最短1か月程度で終了する短期コースと比較し、このコースの場合は3~4か月程度と取得までに時間がかかります。そのため、長く通いやすい自宅付近のコースを選ぶと良いでしょう。また、土日のどちらかは休みたいという方は、土日のどちらかに受講するスタイルのコースを選ぶと良いでしょう。
夜間開講のコースを選ぶ
現職の仕事が日中である場合は、夜間に開講されるコースを選ぶことも良いでしょう。この場合についても、取得は最短1か月程度で終了する短期コースと比較し、3~4か月程度と取得までに時間がかかることが多いです。
ただし、夜間開講コースは全国的にもほとんどないのが現状です。
もしものために、振替制度があるスクールを選ぶ
働きながらスクールを利用する場合、どうしても急な仕事の都合などで講座に出席できないこともあるでしょう。そのような可能性を踏まえ、スクール選びの際は気軽に別日に振り替えられる制度があるどうか確認しておきましょう。
振替制度を確認する際のチェック項目は下記の通りです。
・振替にかかる費用は無料か
・振替にかかる手続きは簡単か
・振替は直前でも可能か
・振替の回数に制限はあるか
資格取得に対する支援の充実した事業所に就職する
一部の企業では、企業の組織・人材育成の観点から、初任者研修の取得にかかる受講料の全額支給を行っています。また、違いはありますが、介護職員初任者研修の資格を取得することで、資格手当がもらえる場合もあります。資格手当という形であなたの努力や能力が給料に反映されることで、さらに意欲的に仕事を行えるようになるでしょう。このようなモチベーション向上につながる制度があれば、もっと専門的な知識や技術を身に付けていこうと考えるきっかけにもなりますよね。このようにキャリアアップを目指す方であれば、今後転職や就職をされる際にも資格取得支援制度や資格手当を設けている職場を選ぶとよいでしょう。
介護職員初任者研修とは、介護の基礎の習得を示せる資格!
介護職員初任者研修の取得により、介護の基本的な知識や技術を幅広く身に付けることができます。そのため、今までは漠然と介護をしていた部分についても、知識と結びつけて実践できるようになり、より適した介護を提供できるようになるでしょう。あなたのライフスタイルに合わせて、資格取得のための対策を行い、介護分野でのキャリアアップにつなげていきましょう。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。