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認知症に関連する見当識障害とは|原因や症状、対応方法や予防法を解説

著者: ゲートウェイ

更新日:2023/12/22

公開日:2022/04/21

介護現場で働いていると身体介護が必要な方だけでなく、認知症を患っている方もいらっしゃいます。また今は平気でも、今後認知症になる可能性も考えられます。認知症の初期症状の1つに見当識障害があり、介護現場で働くには見当識障害の症状や対応方法を知っておくことが大切です。今記事では見当識障害の原因や症状、対応方法などを詳しくお伝えします。

見当識障害とは

見当識障害とは、時間や場所、季節や人など自分を取り巻く環境がわからなくなる、判断できなくなる症状です。認知症の初期症状の1つであり、代表的な中核症状です。認知症の中でも代表的なアルツハイマー型や、レビー小体型によくみられます。

見当識障害の原因

見当識障害は認知症の中核症状であることから、原因は認知症と同じく脳の働きの低下です。脳の働きの低下は、脳の障害によって脳細胞が壊れることで起こります。アルツハイマー型認知症の場合、見当識障害は記憶障害とともに初期から見られ、ゆっくりと進行していく点が特徴です。
一方レビー小体型認知症の場合は、記憶障害よりも見当識障害が目立ちます。

見当識障害と記憶障害(物忘れ)の違い

見当識障害は「今何時か」「今日は何月何日か」「トイレはどこか」「自分はどこにいるか」といった、現在を起点とする物事がわからなくなる・判断できなくなる症状です。一方認知症における記憶障害は、過去の記憶がすっぽりと抜け落ちている点が特徴です。過去に体験したこと自体を忘れてしまう、日常生活で当たり前のようにやっていた行為ができなくなってしまう、物事の適切な判断ができないなどの症状が現れます。

見当識障害により起こりうるトラブル

見当識障害で自分の置かれている状況がわからなくなると、日常生活に大きな支障をきたします。見当識障害が原因で起こりうる徘徊や脱水症状は、命に関わるトラブルに発展する可能性もあります。
徘徊は自分が今どこにいるのかを認識できないが故に起こる行動であり、徘徊により交通事故や行方不明になってしまう事件も実際に発生しています。また季節がわからないため、夏に冷房をつけずに高温の部屋で過ごすことで、脱水症状や熱中症などで命を落としてしまう方も少なくありません。見当識障害は単に時間や場所を忘れてしまうだけでなく、最悪のケースでは命に関わるトラブルに直結する重大な症状なのです。

見当識障害の症状

見当識障害の症状は、主に時間・場所・人に関することに現れます。下記で、各症状について詳しくみていきます。

時間に関する見当識障害の症状

見当識障害の初期症状では、時間の認識ができなくなるケースが多くみられます。初期は時間への見当識が乏しくなるため、長時間待ったり、予定に合わせて準備ができなくなることが多くなります。進行すると日付や曜日、季節を間違えるなどの症状が現れます。

場所に関する見当識障害の症状

時間に次いで、認識が乏しくなるのが場所です。初期のうちは方向感覚がわからなくなっても、景色などから道順を判断できますが、暗くなって視覚情報がなくなると迷子になってしまいます。進行するにつれて、行き慣れた場所への道順がわからなくなる、家の中でもトイレや自分の部屋がわからなくなるなどの症状が現れます。また、たとえば病院に行ったとしても、そこが病院だと認識できずにパニックになってしまうことも。さらに徘徊時は、通常では行けそうにない距離を歩いて出かけようとするといった症状もみられます。

人に関する見当識障害の症状

さらに症状が進むと、人に関する認識ができなくなります。家族や親戚、介護施設などの馴染みのスタッフなど周囲の人だけでなく、自分の年齢なども認識できなくなってしまいます。また人の生死に関する記憶が無くなったり、自分と周囲の人との関係性もわからなくなります。そのためすでに亡くなっている人に会おうとしたり、自分の子どもを姉と呼んだりするなどの症状が現れます。

見当識障害の対応方法

介護施設や老人ホームでは、見当識障害の症状が出る方も多いでしょう。ここでは症状別に、見当識障害への対応方法をみていきます。

時間に関する見当識障害の対応方法

時間感覚を忘れないようにも見やすい大きめのカレンダーを用意し、毎日日付に印をつけていく日課をつけましょう。その際に1人で行ってしまうと、次々に印をつけてしまう場合もあるため、できる限り付き添うことがポイントです。また時計は、日付・曜日・午前午後の表示が入っているデジタル式を使うと認識しやすくなります。
物理的に対応するだけでなく、日常的な会話で「今日は何月何日?」「今は何時?」「今日は何時からどこへいく予定?」などといった、簡単な質問を投げかけてみましょう。答えられない場合は責めずに、正しい答えを教えて認識させてあげることが大切です。また「お昼なので昼食をとりましょう」「夜なので寝室に行きましょう」など、時間と行動をリンクさせた声かけを積極的に行ってみてください。

場所に関する見当識障害の対応方法

場所の見当識は難しく、たとえば「ここは自分の家ではない」と思っている方に対してそこが自分の家であると説得するのは難しいことです。そのため言い争いにならないよう、自分の家だと認識させることに集中せず、「居て安心できる場所」と認識させることが大切です。また引越しや介護施設等への入所、入院などによって環境が変わると、パニックになってしまう可能性があります。住む環境が変わる場合には思い出の品や使い慣れている家具などを持っていき、入院の際はできる限り面会に行ってあげることが必要です。
また自宅の中で場所がわからなくなってしまわないよう、トイレであれば扉に「トイレ」と表示するなどして視覚的に情報を与えるよう工夫してみてください。
そして外出の際は迷子にならないよう、なるべく誰かが同行するのがベストです。難しい場合は、外出支援サービスや訪問リハビリなどの外部サービスに依頼するのも1つの方法です。

人に関する見当識障害の対応方法

目の前の人が誰か認識できない場合には、自分からその人との関係と名前を名乗るようにしましょう。すでに亡くなっている人や知らない人のことを話すこともありますが、否定せずにまずは話を聞く姿勢を持つことが大切です。また、古いアルバムや写真を見ながら、誰といつどこで撮った写真であるかを話し、思い出を引き出す方法も有効です。これは回想法というリハビリの一種であり、自宅で気軽におこなえます。
相手を認識できなくなっていても信頼関係を保つには、否定したり馬鹿にしたりして軽く扱ったりせず、話を聞き入れて安心感を与えることが大切です。

見当識障害の方への接し方

見当識障害は脳ではコントロールできない症状であるため、本人が故意に行っていることではありません。徘徊から迷子になって近所に迷惑をかけてしまったり、失禁して困らせてしまうなど、大変なシーンも多々あるでしょう。しかし相手を困らせようとしているのではなく、症状であることを理解して良い意味で割り切って対応することが大切です。 また見当識障害を患っている本人はその自覚がないため、怒ったり責めてもなぜそうされているのか理解することができません。時に怒りたくなったり、イラついてしまうことは避けられませんが、そうした時はその場を離れて冷静になる時間をつくるようにしましょう。

見当識障害の予防法

見当識障害は認知症の初期症状であることから、認知症予防が見当識障害の予防にもつながります。認知症の予防法は日常生活にあり、以下のようなことを意識して生活することがポイントです。

・十分な食事と睡眠をとった規則正しい生活
・適度な運動(例:散歩、ラジオ体操、グラウンドゴルフなど)
・知的活動(例:今日の出来事を思い出す、間違い探し、買い物の計算など)
・人との交流

認知症は脳に刺激を与えることで進行を遅らせたり、症状を改善することができます。まずは生活習慣を見直し、日常の何気ない会話や動作が予防につながることを意識して生活しましょう。

見当識障害とは自分の置かれている状況が判断できない認知症の初期症状の1つ!

見当識障害は認知症の初期症状の1つであり、脳の働きの低下によって起こる中核障害です。時間・場所・人のように、自分を取り巻く環境の認識ができなくなってしまうことが主な症状です。見当識障害の症状の特徴を押さえ、症状に応じて必要な対応をすることがポイントです。今記事を参考に見当識障害への理解を深め、必要な対応や予防ができるようにしましょう。

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異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。

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