介護職の給料はどれくらい?平均年収や資格・施設ごとに変わる給料について解説!
著者: ゲートウェイ
更新日:2023/12/22
公開日:2019/02/26
更新日 2023/03/12
介護業界で働きたい方、また実際に介護職に就いている人のなかには、給料に不安を感じている方も少なくないのでは?そこで介護職の平均給与額や保有資格による違いなどを解説していきます。また、今後介護職の給料が上がることはあるのか、給料を上げる方法についても紹介します!
目次
介護職の平均年収とは
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」と「令和2、3年賃金構造基本統計調査」によると、介護職の平均年収は以下の通りです。(※介護職員処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得している事業所対象)
勤続年数 | 【年収】給料相場 | |
---|---|---|
令和3年 | 令和2年 | |
1年(1年~1年11ヶ月) | 374.2万円 | 350.4万円 |
2年(2年~2年11ヶ月) | 386.5万円 | 384.3万円 |
3年(3年~3年11ヶ月) | 401.3万円 | 395.7万円 |
4年(4年~4年11ヶ月) | 401.6万円 | 397.2万円 |
5年~9年 | 425.6万円 | 424.1万円 |
10年以上 | 468.4万円 | 470.2万円 |
勤続年数が増えるほど、役職や資格などの手当により年収も上がっていきます。また、前年度と比較すると、年収は約2〜24万円ほどアップしていることがわかります。
しかし、国税庁の民間給与実態統計調査によると、令和3年の日本の平均年収は443万円です。そのため相場で見ると、全体の平均より低い年収となっています。もちろん上記年収は相場であるため、それよりも高い年収を得ている方も多くいらっしゃいます。
介護職の平均月収とは
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職の平均給与は以下の通りです。(※介護職員処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得している事業所対象)
勤続年数 | 【年収】給料相場 | |
---|---|---|
令和3年 | 令和2年 | |
1年(1年~1年11ヶ月) | 27.7万円 | 25.2万円 |
2年(2年~2年11ヶ月) | 28.7万円 | 28.0万円 |
3年(3年~3年11ヶ月) | 29.9万円 | 29.0万円 |
4年(4年~4年11ヶ月) | 30.0万円 | 29.1万円 |
5年~9年 | 31.1万円 | 30.5万円 |
10年以上 | 34.2万円 | 33.7万円 |
上の表からも前年度と比べて平均給与額は上がっていることが分かります。また、手取りについてはどのキャリアであっても20万円以上はあるといえます。しかし、施設や法人によってバラつきがあるため、ひとつの指標として参考にしてください。
介護職の初任給とは
介護職の初任給については、施設や勤務場所によって大きく異なります。たとえば、介護福祉士の資格を取得した状態でも、一般的に正社員として就職した場合の初任給は平均16万7千円です。これに資格手当や夜勤手当が加算されるため、実際には平均20万円程度になる企業がほとんどです。手取りだと17万円~18万円が相場でしょう。
実際の手取り額はいくら?
給料をみる際に注意すべき点は、「額面」と「手取り」は異なるということです。手取りは税金などが差し引かれた、振り込まれる金額のこと。そのため実際の手取り額は、額面のおよそ7〜8割となります。
【保有資格別】介護職の給料比較
保有資格によっても給与額に違いがあるようです。
保有資格 | 平均勤続年数 | 令和3年 | 令和2年 |
---|---|---|---|
介護福祉士 | 9.5年 | 32.8万円 | 32.2万円 |
実務者研修 | 7.7年 | 30.7万円 | 29.9万円 |
初任者研修 | 8.1年 | 30.0万円 | 29.3万円 |
資格なし | 5.2年 | 27.1万円 | 26.2万円 |
保有資格によって任される仕事内容も大きく違ってくるため、それが給与額にも反映してくるようです。また、長く働けば働くほど、資格は給与で有利に働くといえます。キャリアアップを目指すのであれば、資格取得をした方が良いでしょう。
【雇用形態別】介護職の給料比較
雇用形態 | 平均月収 |
---|---|
常勤 | 31.6万円 |
非常勤 | 19.8万円 |
上記月収は、介護職員での比較です。非常勤の場合、個人の出勤回数などによって大きく差が出ますが、常勤とはかなりの開きがあることがわかります。この傾向は介護職員に限らず、介護職全般に見られます。
たとえば、生活相談員は常勤で月収33.8万円、非常勤で29.0万円の平均月収です。
【施設・職場別】介護職の給料比較
施設・職場 | 【平均月収】常勤 | 【平均月収】非常勤 |
---|---|---|
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | 34.5万円 | 20.2万円 |
介護老人保健施設(老健) | 33.8万円 | 28.9万円 |
介護療養型医療施設(介護療養病床) | 28.7万円 | – |
訪問介護事業所 | 31.4万円 | 20.1万円 |
通所介護事業所(デイサービス) | 27.8万円 | 17.3万円 |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 29.1万円 | 18.9万円 |
給料は常勤・非常勤ともに、職場によって差があります。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の給料について
特別養護老人ホームは、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な施設です。介護度の高い利用者が多く、仕事をするには相応の介護スキルが求められます。介護施設の中では、最も高い給料相場です。
介護老人保健施設(老健)の給料について
通称老健と呼ばれ、医師の管理の下で利用者の自立支援や在宅復帰を目指します。機能回復にも重きを置いており、生活援助や身体介助のほか、リハビリテーションも行います。介護施設の中では、介護老人福祉施設に次いで高い給料相場です。
介護療養型医療施設(介護療養病床)の給料について
病院に併設されていることが多く、運営元が医療機関の介護施設です。入院患者さまの介護のほか、医師や看護師のサポートも行います。給料は相場ほどですが、施設規模によって変動します。また地方よりも都心部の施設の方が、給料も高い傾向にあります。
訪問介護事業所の給料について
ご利用者さまの自宅に伺い、介護サービスを提供します。身体介護のほか、掃除や洗濯などの家事も仕事の1つです。また訪問介護は実務者研修や初任者研修、介護福祉士の有資格者しかできないため、給料相場はやや高いといえます。
通所介護事業所(デイサービス) の給料について
要介護度や要支援度の低いご利用者さまが、自宅から通うタイプの介護施設です。入浴や機能訓練、レクリエーションなどにより、機能回復や社会的孤立感の解消を図ります。デイサービスは無資格の方でも就業可能である一方、看護師や生活相談員など有資格者の配置も必要です。そのため給料は、資格有無や役職によって個人差があるといえます。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の給料について
認知症の高齢者が、サポートを受けながら共同生活する介護施設です。家庭に近い環境で、5〜9人の小規模グループが日常生活を送ります。24時間稼働しているため夜勤配置があり、夜勤有無によっても給料が変動する点が特徴です。
介護職員処遇改善加算と待遇の関係
介護職員処遇改善加算とは?
近年の高齢化に伴い、介護職のニーズは高まりつつあります。しかしどれだけ介護報酬を増やしても、使い道を施設に全委託していれば、すべてが給与に反映されることはありません。少ない給料の状態で仕事量が増えるだけでは、介護職の離職率は増えていく一方です。介護職の給料を上げることを目的に「介護職員処遇改善加算」という制度を設けました。
介護職員処遇改善加算の取得状況
では、実際にどれだけの施設が「介護職処遇改善加算」を取得しているのでしょうか。以下は、1~5段階ある処遇改善加算に対する施設の取得状況を表しています。
施設形態 | 取得状況 | 加算Ⅰ | 加算Ⅱ | 加算Ⅲ | 加算Ⅳ | 加算Ⅴ |
---|---|---|---|---|---|---|
介護老人福祉施設 | 99.5% | 92.9% | 4.7% | 1.8% | 0.0% | 0.0% |
介護老人保健施設 | 97.5% | 81.7% | 9.4% | 5.9% | 0.0% | 0.5% |
介護療養型医療施設 | 62.7% | 36.0% | 9.9% | 16.8% | 0.0% | 0.0% |
訪問介護 | 93.3% | 75.3% | 10.3% | 7.5% | 0.1% | 0.1% |
通所介護 | 93.7% | 78.0% | 10.3% | 4.8% | 0.2% | 0.4% |
認知症対応型共同生活介護 | 99.4% | 88.9% | 7.7% | 2.4% | 0.0% | 0.4% |
介護療養型医療施設が全体の数値を引き下げていることが確認できます。また、加算を事業所がどの段階まで取得しているのかによっても差が生まれています。それぞれに要件があるため取得するのが難しい状況であることも事実です。
今後、介護職の給料は上がる?
介護職は今後需要が高まることが明白である反面、給料や待遇への不満から離職が多い現状もあります。では今後、介護職の給料は上がるのでしょうか。この点についても、詳しく見ていきます。
ベテラン介護士は月額8万円の昇給
超高齢化社会のなかで増え続ける介護士のニーズに対応するため、政府は、経験や技能のある職員の処遇の改善に力を入れています。
具体的には、月額8万円または年収440万円までの賃金アップをする「特定処遇改善加算」という制度が、2019年10月より実施されています。これは、勤続10年以上の介護福祉士のような経験・技能のある職員が対象。
すべての介護職員の賃上げをするのではなく、長く働けば賃金が上がる仕組みをつくることで、介護現場の人材定着に繋げる目的です。
介護職員が給料をアップさせる3つの方法
手当を増やす
夜勤のある施設では、1回の夜勤で平均5,000円~8,000円程度の夜勤手当が給料とは別に支給されます。夜勤に入る日数は平均で4~5回ですが、夜勤手当を増やすために勤務回数を増やしている人も少なくありません。少ない勤務日数で収入アップが見込める「夜勤専従」という働き方もありますが、体調管理には十分に注意して下さい。
ケアマネージャー・生活相談員になる
介護福祉士の資格を取得しているのであれば、ケアマネージャーや生活相談員といった職種にキャリアアップすることで、給料をアップさせることも可能です。それぞれに別の資格を取得する必要がありますが、介護サービスを受けたいと検討している方の相談役となり、その人らしい生活をサポートしていく、やりがいのある仕事です。
転職する
現状の給与額と平均給与額を比較してみて下さい。また、資格を取得したり、役職に就いたりしても給料が上がる見込みがないのであれば、別の施設への転職も考えることも大切です。超高齢化社会の影響から介護職の需要は高まっており、人手不足ともいわれています。自分の希望に合った環境が優れている職場を探してみましょう。
給料アップを目指して待遇の良い職場探しをしよう
介護職の給料は全産業と比べても約10万円低いといわれています。近年、経験を積んで給料アップを目指すのはもちろん」、いますぐにでも待遇の良い職場で働きたいと考えているのであれば、給料アップを目指して転職を検討してみることも大切です。
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著者プロフィール
ゲートウェイ
異業種含め、人事採用担当として15年以上のキャリアを積んだ経歴を持つ40代男性。現在はソラストの介護採用スタッフとして活躍している。スタッフの負担軽減のため、IT導入や業務ルールの改善に強みを持つ。